ゴミの減量化
たて終わったコーヒーの粉(コーヒーかす)。かつては乾燥させて灰皿に入れるのが流行ってました。
当店では、これをすべて堆肥化しています。店から出る有機物のゴミも一緒に混ぜ込みます。
生ゴミが堆肥化するまでの間は悪臭が伴いますが、コーヒーかすには強力な消臭効果があり、臭いもさほど気にならないといった利点もあります。(コーヒーかすの構造は、炭やヤシガラ活性炭と同じような多孔質です。)
出来上がった堆肥は、ロッキーの家の裏にある菜園で利用します。
コーヒーかすには生育阻害物質が含まれていることが知られています。発芽、生育共に悪影響を与えます。コーヒー粉には阻害物質が全く無く、熱湯でコーヒーを抽出する過程で生成されるようです。
詳しいこは、神奈川県HPコーヒー粕の作物生育阻害因子に関する研究.pdf をどうぞ。
その報告に、堆肥化することによって生育阻害性は軽減される旨記述されていました。また、堆肥の完熟度が高いほど軽減されるようですが、通常の堆肥化処理では、完全に除去されるまで長い期間を必要とするようです。ただ、報告の中には、完全に除去された材料は無かったので、本当になくなってしまうのかは定かではありません。
植物にとって窒素は重要な肥料成分ですが、コーヒーかす中に含まれる窒素は植物や微生物が取り入れることが出来ない難溶性です。こちらは堆肥化しても変化しないとありました。この堆肥を畑に施すと、土壌中の無機態窒素(植物が吸収できるのは2つの無機態窒素 硝酸態窒素とアンモニア態窒素だけ)を減少させてしまうようです。畑の窒素が減少する、いわゆる窒素飢餓状態に陥り、生育阻害物質の影響に加えて植物の生育障害につながっているのだと思われます。
コーヒーかす堆肥は植物にとってあまり良くない事ばかりのようです。
ところがロッキーのコーヒーかす堆肥は、なぜか上記の様な生育障害や発芽障害はおきません。
コーヒーかすは微生物の働きによって堆肥になりますが、ロッキーの堆肥場には微生物以外に沢山の生き物がいます。
シマミミズ、ドバミミズ、カブトムシなどと、それらを食べに集まってくるモグラや鳥等など。
これはキュウリの芽です。
ポットの中の用土は堆肥場近くの土に、コーヒーかす堆肥を混ぜたもの。
キュウリの種は高価なので1ポットあたり種1粒ずつ蒔きました。
発芽率は100%
その他の野菜や花の種、いろいろ蒔きましたが、発芽不良は経験したことがありません。
こちらのトマトは堆肥場のすぐ脇。
こぼれ種から勝手に生えたものです。
ほかにも、カボチャやメロン、スイカにゴーヤ。堆肥場に捨てた種から、いろんな苗が。
そのまま育てたり、畑へ移植したり。
やはり、生育不良は出ていません。
堆肥を作る場合、発酵を促進させるために何回も切り返し(上下をひっくり返すように混ぜる)を行います。その際生じる発酵熱で熟成中の堆肥は5~60度にもなり、湯気が出るほどです。
ロッキーの堆肥場には、大量のカブトムシの幼虫やシマミミズがいます。高温下では生きられません。かわいそうなので絶対に切り返しはしません。自然にまかせて放置したまま。その結果、通常の堆肥化では死んでしまう作物の害虫たちも同時に繁殖してしまいます。
確かな証拠や検証はありませんが、おそらくその結果が、使えないコーヒーかす堆肥が有効に使えるようになり、ゴミの減量化に繋がっているのだと思います。
ゴミの減量化と共に、ロッキーのメニューの自給化にも取り組んできました。農薬は使わずに安全な野菜を育てています。100%自給は今のところ無理ですが、シーズン中は、コーヒーかす堆肥で育てた野菜100%のサラダ付き「コーヒー・セット」をお召し上がりいただけます。
(ロッキーブレンドと、トースト・たまご・サラダのセット 朝8:00~11:00 500円)